最近テレビやマスコミなどの影響で次第に知られてきた口臭治療。一般に、口臭治療は歯科や内科のみで治療すると思われますが、しかしそれだけでは全てをカバーしきれない部分があります。
その一つが「自臭症」と呼ばれる症状。重度の自臭症であれば精神科でのケアが必要になってきます。ほんだ歯科では、歯科提携クリニック以外にも豊富な提携クリニックのネットワークがあり、精神科として喜多クリニック(大阪市中央区)と連携して自臭症の心のケアにあたっています。
今回は、その喜多クリニックにお伺いし、精神科医である喜多成价先生から見た自臭症についてお話をお聞きしました。


A.簡単に言うと、「歯科的に問題がないにも関わらず、口臭を発して、周りの人に迷惑をかけているのではないかと思い込み、その結果、思い悩む病気」のことです。これまで当クリニックに来られた患者さんは10代から年配の方まで性別や年代などいろいろな方がいらっしゃいます。


A.一概には言えませんが、性格としては、非常に敏感で繊細、また自分の意見を主張することができず、こんなことをいうと迷惑になるのではないか、相手をいやな気分にさせるのではないかと悩み、本当のことが言えないような人が多いです。
ただし、このような性格であればすべて自臭症になるというわけでもありません。性格的要素とは別に、家庭環境や小学校・中学校など成長過程での様々な要因(「友達に口が臭いと言われた」など)が自臭症に影響を及ぼすと考えられます。一人ひとり要因や原因が異なるため、治療にあたっては充分なカウンセリングを行いながら要因や原因を見つけ出す作業が必要となります。



A.自臭症も比較的軽いものから深刻なものまで様々です。軽度のものであれば、口臭が出していないかどうか人の目や態度を気にしてしまうものの普段の社会生活はできます。この場合は歯科での口臭治療で患者さんの不安が十分解消され、改善することができます。
これが重度の自臭症になると、「自分が臭いを出して周りに迷惑をかけている」と思い、自分を責めて、外に出かけることさえも怖くなり、ひきこもりになってしまいます。したがって、歯科のみでの対応は非常に難しくなってきます。

例えば、スーパーマーケットに行ったとしましょう。買い物をしている時に問題がなくても、いよいよレジの前に並ぶことになって、前後の人との距離が非常に近くなることで、「自分の口臭が臭っているのでは・・・」と不安になる。そしてレジでは店員さんと対面・・・さらに緊張してしまうんですね。
もっと深刻になると、道を歩いている人とすれ違うときや、電車やバスなど密閉空間に入ることで、自分が発する口臭を気にする余り、近づく事が恐怖となってきます。電車に乗りこんだ時に他人からの視線を感じただけで、自分が臭っているから見られていると考えてしまい、誰かが電車を下りようと席を立っただけで、自分のせいでその人が電車を降りるのではないかと不安になる。絶えず周囲に迷惑をかけていると自分を責めてしまいます。




A.自臭症の改善に最も重要なことは、精神的なケアが必要であると本人に認識してもらうことです。自臭症の方は、口臭の有無に関わらず「自分は身体的に欠陥がある(口臭がある)」と思い込んでいることが多く、精神的なケアが実際に必要であったとしてもそれに気づきません。
自臭症の方に精神的ケアという選択肢をアドバイスし、心を解きほぐすことが必要なのです。
そのためには、歯科との強いネットワークが重要となってきます・・・(次号に続く)



Profile


喜多クリニック
院長:喜多 成价 (きた しげとも) 先生

昭和47年 関西医科大学卒業。昭和47年、関西医科大学付属病院精神神経科に入局。平成14年、 喜多クリニック開院。平成15年〜、ほんだ歯科提携クリニックとして口臭治療患者の精神的ケアを開始。

喜多クリニック
INFORMATION

大阪市中央区石町一丁目一番 天満橋千代田ビル2F

診療時間:月〜金(※木曜日を除く)
午前10:00〜11:00、11:30〜12:30
午後 13:30〜14:30、15:00〜16:00、17:00〜18:00

電話:06-6966-5567
FAX:06-6966-5568
メールアドレス:
kita-clinic@alpha.ocn.ne.jp
ホームページアドレス:
http://www10.ocn.ne.jp/~drkita/




喜多先生のインタビューはいかがでしたか?心のケアに従事されていらっしゃる先生だけに大変穏やかな先生で、ご多忙にも関わらず丁寧に分かりやすくお話してくださいました。自臭症ということばを初めてお聞きになった方もいらっしゃると思いますが、重度になると単なる歯科治療では解決しない、想像以上に複雑で様々な要素が原因となっているようです。複雑な原因を丁寧に探り治療を行うには、やはり精神科の先生の対応が必要だとお分かりいただけるのではないでしょうか?
さて、次回は精神科での実際の治療法や、ほんだ歯科提携クリニックとのネットワークについて明らかにしていきます。お楽しみに!